レトロゲームに宿る、開発者たちの「想い」
こんにちは、Kumuです。今回ご紹介する本は、柳井政和さんによる小説『レトロゲームファクトリー』(新潮文庫)です。
タイトルの通り、テーマはレトロゲーム。舞台は、過去の名作ファミコンゲームを現代によみがえらせる「レトロゲームファクトリー」という会社。社長の灰江田(36歳)と若きプログラマーの白野(21歳)のもとに、伝説的なゲーム『UGOコレクション』10本を復活させるプロジェクトが舞い込み、物語が動き出します。
ファミコン時代の記憶が、物語を動かす
この小説の魅力は、レトロゲームに対する深い愛情と、それを現在に蘇らせようとする情熱です。著者の柳井さんが現役のプログラマーということもあり、ゲーム開発現場のリアリティも随所に描かれています。
特に印象的だったのは、主人公たちが過去のゲームのプログラムから、当時の開発者の想いや意図を読み取っていく描写。まるで料理人がレシピを通して想いを伝えるように、プログラムを介して心を通わせるという視点にハッとさせられました。
「レトロ」とは何か? ノスタルジーとの違い
読んでいるうちに、「レトロって、なんだろう?」と改めて考えさせられました。過去のものをそのまま懐かしむのではなく、そこに現代的な解釈を加え、再構築するのが「レトロ」。一方で、ノスタルジーは「戻れない時間への想い」です。
この作品はまさに、レトロとノスタルジーの狭間を丁寧に描いていると感じました。
「レトロゲーム」の定義とは?
一般的に、発売から20年以上経ったゲームが「レトロゲーム」とされます。ファミコン(1983年)、スーパーファミコン(1990年)、ゲームボーイ(1989年)などがその代表です。
ただ、単に古いだけではなく、「技術的な制約の中で生み出された創意工夫」や「時代背景」が感じられるゲームこそが、本当の意味でのレトロゲームなのではないかと思います。
過去と未来、どちらも大切にしたい
物語では、レトロゲームを価値あるものとして再評価する登場人物たちと、最新技術で利益を追求する大企業との対立も描かれています。僕としては、やはり「過去の良さを、今に伝える」ことに心惹かれます。
リメイクやリマスターが当たり前になった今だからこそ、「なぜ過去の作品に惹かれるのか?」を、改めて考えるきっかけになる一冊だと思いました。
おわりに
『レトロゲームファクトリー』は、ゲームが好きな人はもちろん、開発の裏側に興味がある方にもおすすめの一冊です。現代に生きる私たちが、かつて夢中になったゲームとどう向き合うか——そんな問いが、優しく胸に残る小説でした。
ぜひ、手に取って読んでみてくださいね。
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このシリーズ「本で旅するゲームの世界」では、ゲームに関連する書籍を紹介しながら、ゲームの魅力をさらに深掘りしていきます。
📖 今回紹介した本はこちら
『レトロゲームファクトリー』(柳井政和/新潮社)
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また次回の「本で旅するゲームの世界」もお楽しみに 🙂
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